荒川アンダーザブリッジ

荒川アンダー ザ ブリッジ 1 (ヤングガンガンコミックス)

荒川アンダー ザ ブリッジ 1 (ヤングガンガンコミックス)

カテゴリ分けをするとしたらギャグ漫画なのかしら。でもただのギャグ漫画と呼ぶにはとても違和感がある。荒川河川敷で物語は進行する。登場するキャラクターはとても濃い。金星人だと言い張る不思議少女「ニノ」、人に借りを作るべからずで育ったのにニノに命を助けられてしまい、荒川河川敷に住むことになった将来有望エリート「リクルート」、河童の着ぐるみを着ているのに正真正銘の河童だと言い張る「村長」、ミュージシャンだったらしい星頭のかぶりものをした「星」、超能力があるため謎の研究所に見つからないように鉄兜をかぶった「鉄人兄弟」、白線から出たら妻が白色コーニッシュになるというルールを作ってしまったがために白線を引きながらもう6年も家に帰れない「シロ」、顔に傷がある戦争マニア?「シスター」、他にもたくさん河川敷の住人がいるが皆普通じゃない。
とてもおふざけしてるのに、笑いあり切なくもあり心温まったりするとてもファンタジーな漫画だと私は思う。「見た目は関係ない」とか「何を持ってるとかは重要じゃない」とか河川敷の外からやってきたリクルートの持ち込んだ「常識」や「価値観」をニノはたびたび指摘する。当たり前なことなのになかなか気づけない些細なことをニノが教えてくれる。登場キャラクターの個性が強烈すぎるのは「自分の生き方を貫く」ということを擬態化しているように思えた。重くなりがちなテーマもこんな風にギャグ仕立てにするセンスはとても好きだ。
現在3巻まで発刊。続きが楽しみ。